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社会

市民社会が困難をのりこえる術とは

私たち人類が二足歩行を始めてから約500万年。この間、絶えず進化し、社会は豊かになったと考えられています。本当にそうでしょうか。社会が複雑化する中で「長時間労働」「児童虐待」「格差社会」「都市型災害」「環境破壊」など、次々に新たな課題が生まれています。さて、解決する手立ては?

それを解き明かすために、近代社会がかたちづくられた幕末から見ていきます。明治政府がお手本にしたのは欧米の国々でした。かの地ではコロンブスらが活躍する大航海時代を経て、アジア・アフリカなどの植民地から資源(人間をも含みます)を収奪することで富の蓄積が進みました。

また産業革命によって「労働者」が生まれ、労働問題や環境破壊のきっかけに。フランス革命で人権に対する理解も進みます。ところが市民の自由を敵視するファシズムも台頭し……。と、歴史と空間を俯瞰すると、課題にはそれぞれに背景があり、場所や立場によって価値観が変わることに気づきます。

たとえば、私たちの現代の社会では断じて許されるものではない「殺人」という行為。それが戦争の最中には、むしろ積極的に取り組まれたことだと考えると、分かりやすいかもしれません。

現代をもう一度見てみましょう。18歳になればあなたは成人として扱われ、国政を動かす選挙権も付与されます。歴史的背景や地域の特性をふまえた上で社会を見渡せば、課題の解決に本質的に近づき、よりよく生きるための選択ができると思います。

自由の森の社会科では「よりよく」を実現するヒントを見つけるために、議論の時間をたくさん用意します。人前での発言が苦手な人は議論をふまえてレポートや評価表に意見をつづってください。世の中の困難にひとりで立ち向かうのではなく、知識を共有したみんなで考え、意見を深めていく。この経験は、これからのあなたにとってひとつの道標になるはずです。

〈報告・討論授業〉生徒が自身で調べた内容を発表し、クラスで議論を交わします。この場で大切にしていくのは、真実や正解を厳密に追求していくことではなく、共に考え合い、考え続ける場を体験していくこと。思いもよらぬ意見や知らなかった事実とも出会いながら、「自前の社会認識」を形づくっていきます。