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教育理念
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音楽 「音楽する」という かけがえのない体験を

音楽科の授業で取り組むのは「合唱」です。でも、普通の合唱の授業とはちょっと違います。授業では、合唱の各パートの音合わせを繰り返しますが、それは音楽のテクニックの積み重ねを目的にした練習ではありません。同じ歌をうたうときでも、思っていることや感じていることは一人ひとり違い、30人いたら、そこには30通りの受け取り方があります。私たちが大切にしているのはその部分です。

通常、音楽の練習は技術の習得から始まります。しかし「できる」「できない」ということに囚われたプロセスを辿ると、個々の内から湧き立つ音楽を引き出すことはできません。だから、とにかく自分の体を使って歌うこと、その繰り返しから始めるのです。そして授業で歌う合唱を通して、次第に歌は生徒たちの生活の一部のように欠かせない要素となっていきます。

開校以来、これまでの音楽科が作り出してきた合唱のスタイルには、メロディーやリズム以外の形式がありません。だから歌が始まると、生徒たちは自然に体を揺らしてリズムを取り、全身で声をとどろかせて、歌う喜びを全身で表現します。歌う人と人のあいだにはしっかりと伝わり合うものがあって、それぞれがそれぞれの気持ちを解放して歌うことができたとき、全員の「音楽する」という体験はひとつの大きな結晶になって、聴く人々の心を打つ大合唱になります。

「歌を通して互いの存在がそこにある」という、ただそれだけの時間と空間のかけがえのなさ。それが「音楽する」体験を通して感じてほしいメッセージです。

〈高3学習発表会合唱〉生まれ育った場所に根づく歌や踊りのように、私たちの合唱は、生徒一人ひとりがこの場に「共に」生きることと深くつながっていきます。