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9大震災による石巻市の被災を後世に伝える施設、門脇小学校にて。校舎自体が、当時被災している震災遺構である。上)現地にて、保存会の方から郡上おどりを代表する曲目「かわさき」を教わっている様子。振り付けそのものは比較的簡単なので、すぐに覚えられる。(右)本番で、課題曲をうまく踊れた人には「おどり免許状 」が贈られる。4名の生徒が獲得しました。津波により、児童74名、教師10名が犠牲となった大川小学校でのフィールドワーク。当時の傷跡に誰もが息を呑んだ。 被災地や復興住宅に住む人を訪ね、多くの人の話に耳を傾ける旅です。東北の現状を見るだけでなく、復興の在り方や復興のできる社会について考えます。 「震災から10年目の昨年、メディアの特集ではきれいに整備された堤防や街が映されましたが、10年で何かが終わるわけではない。11年目からの復興の在り方を考えたいと、この講座をはじめました」と話すのは、担当教員である社会科の内田さん。「社会が、市民に求められる復興ができるのならば、それは誰もが暮らしやすい社会です。現地で復興の姿を体感することを通して、市民社会について考えるきっかけになればという思いもありました」。 東日本大震災当時、現在の生徒たちは小学校の低学年。何が起きたかは知ってはいても、被災地のリアルな状況まで理解できているわけではありません。そのため、事前学習には力を入れていますが、「津波が8mの高さだったことは知っていても、実際に現地に行ってこの高さまで来たという表示を見ると、思った以上の高さに驚いた」という声も。事前に調べたことと、現地で感じたことでは体験の深度が大きく変わります。 また、前回のツアーでは東京大学の大学生・大学院生も同行し、事後学習では立命館大学の主催するシンポジウムにオンラインで参加。スタディツアーで見聞きした内容を生徒たちが報告するなど、異なる世代の人たちと一緒に学びを深める機会にも恵まれました。普段の学校生活で交わることのない人たちと関われたことは、生徒たちにとっては良い刺激となったようです。「復興の問題は簡単に答えが出るものではありません。生徒たちからも『もやもやした』『現地に行ってますます分からなくなった』という声が多かったですが、その感覚を前向きに受け取って、考え続ける学びに結びつけている生徒が多かったのもひとつの成果だと思っています」(内田さん)。東日本大震災の復興を見つめる『東北と復興』

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