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ヒビノイロハニ埼玉県さいたま市緑区大間木2丁目5−5営業日はInstagramを参照Webサイト:https://hibinoirohani.jimdofree.comInstagram:@hibino.irohani倉田幸世さん〈18期生〉1986年東京都生まれ。自由の森学園高等学校を卒業後、日本社会事業大学へ進学。社会福祉学部福祉援助学科子ども・家庭福祉コースで学ぶ。在学中に生花の世界へ入り、「青山フラワーマーケット」を運営する株式会社パーク・コーポレーションなどを経て、2022年3月に「ヒビノイロハニ」を開業。生花の販売のほかワークショップも随時開催している。旧姓・味沢。日々表情が変わります。人間みたいですよね。もともと絵を描いたり、ものを作ったりするのが好きでしたし、花で自分の作品を作れることや、その花を飾ったり贈ったりして人に喜んでもらえるのが、ピタッとはまったのでしょう。 当時はまだ大学に在学中でしたが、ゼミの担当の先生に、保育実習はもう参加しない旨を伝えて、大手フラワーショップでアルバイトを始めました。怒られるかな……と、緊張していたのですが、意外にも「いいと思うよ。向いているんじゃない?」と背中を押してくれました。私が行き詰まって悩んでいたことを、ちゃんと見てくれていたのだと思います。 でも、その後も順風満帆ではなかったのです。短い期間ですが、新しい視点で花を見つめてみたいと、ブライダル専門の生花店に転職したことがありました。しかしそこは、カタログ通りのアレンジメントを淡々と続ける会社だったのです。「この花で何か違うアレンジができないか」とか「新しい品種を使って」といった自由度はほとんどなく、効率で花を扱う職場。パソコンを扱うように無機質に花を触る毎日は、辛いものでした。 そんなある日、前職の上司にもう辞めたいとこぼしたら、なんと「こうなると思ってた」と言うじゃないですか。その返答に驚いていたのも束の間、戻ってこない? と誘われ、すぐに前職に復帰できる手続きをしてくれて。 その後は独立するまでの12年間、勤め続けました。この時の上司も、先ほどの大学時代のゼミの先生も、私より私のことを理解している。本当に人に恵まれてきたことを感謝しなければいけません。 現在は、花屋を営むかたわら男の子を3人育てています。3時頃に学校から帰ってくる息子たちに、店の小屋から顔を出して「お帰り」と声をかけるのが日課です。 子どもたちには、五感を存分に使って「忍者みたいに育ってほしい」と思っていて。忍者って全身でいろいろなことを察知できるらしいんですよ。そんな風に自分の身体の持っている力を存分に発揮して生きていってほしい。男の子だからよくケガもしますが、「骨折くらいまではOKとしよう」と、冗談まじりに夫婦の間で話しています。 子育てをしていると、「早めにトイレットトレーニングを」とか「入学前に数字を覚えさせて」みたいな言葉が耳に入ってきますが、そんな風潮については疑問に思っています。成長の仕方は一人ひとり違うし、充分に発達する前にいろいろやらせて「うちの子はあれができない、これができない」と、追い詰める必要はないのではないでしょうか。 出会ってきたたくさんの人々が、自由にふるまう私を咎めずに見守ってきてくれた。「こうあるべきだ」「こうじゃないとだめだ」と強制されることがあまりなく生きてこられたから、今の私があります。 同じように子どもたちにも、彼らの思いを大事にした日々を過ごさせてあげたいと思っています。1313「骨折くらいまではOKとしよう」と、冗談まじりに夫婦の間で話しています。パソコンを扱うように花に触る辛さ忍者のような子どもに「あるべき姿」という幻想

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