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数学科の分科会より。学外の教育関係者や研究者、保護者、卒業生、教員、生徒などが思い思いの席に座る様子は、フラットな関係だからこそ。体育科分科会より。助言者と生徒が、太鼓を叩くことを通した身体操作、そこから表れる表現を検証する様子。英語科の分科会のテーマは「森の時間と英語科の教材」。英語の授業が語学教育に留まらず、ESDと結びつく可能性を検証した。9視点を得るキッカケになることも。 「自由の森の授業が、他の多くの学校と異なる部分があることに不安を感じていた生徒たちも、ホッとする機会になるのでしょうか。翌週の授業から、教室の空気が少し変わるキッカケになることもありますよ」と、理科教員の石井徹尚さんが語ってくれました。 このようにライブ感が肝といえる公開研ですが、2020、2021年はコロナ禍で、リアル開催を初めて中止。一方向の発信ではあるものの、オンラインにて開催しました。 登校の自粛が続いた2020年は、「コロナ禍においても、生徒の学習権は妨げられるべきではない」と考えた学園が、コロナ禍の教育をどう捉えたかつづるムービーを公開。2021年はSDGs・ESD(持続可能な開発のための教育)を主眼に据え、環境を見つめた学園の取り組みや、ゲストスピーカーと菅間高校校長の対談などを公開しました。 配信の利点を生かし、全国どこからでも視聴できる「オンライン公開研」は、新しい教育公開の可能性に触れるキッカケでもありました。 「2年間のオンライン配信によって気づかされたことは、自由の森学園という空間で人と人が集う営みの豊かさでした。実際の空間には、人の息遣いや手足の動き、他者の話を継いで語りだす姿など、画面越しでは映らない豊かな表現がたくさん存在しています」と述べたのは、2022年の公開研の運営を担しょう当した教員、猩さん。続くコロナ禍に迷いながらも、リアル開催に踏みきりました。 徹底した感染対策を講じたうえで、3年ぶりとなったリアル開催。高校校長の菅間さんは「やってよかった」と手応えを感じたようです。 「3年も開催しないと身体的な記憶がどんどん薄れてしまいます。多様な人間が集まって相手の表情を見ながら言葉を受けとめたり返したりという豊かな語りあいの文化はこれからも継承していきたい。自由の森の学びが独りよがりにならないためにもね。もちろんオンラインを否定するつもりはないし、黒板を背にした授業が最良とも思っていないんです。デジタルを活用した取り組みも紹介したつもりです。が、人が誕生して育っていく過程でインタラクティブな学びは不可欠だし、学びに伴走するなんらじょう々ひろ紘さと怜かの場や人は必要だと思うんです。この先、人間がやることを機械が代替する場面は増えるだろうけれど、同じ場に居あわせた人々がリアルで笑いあえる関係は代替できないでしょう。多様な人々が集まるからこそ、場がかきまわされ、予想もつかない乱反射が起こる。その身体性、偶発性を守っていきたいですね」。 「研究会」という名前がついているので、堅苦しい会に思われがちですが、専門家も非専門家も、大人も子どもも思ったことを自由に発言できる場です。小学生も、なんなら未就学児も発言してくれたら、みんな喜んで真剣に耳を傾けてしまうでしょう。 「大勢の前で話すのは、ちょっとハードルが高いな……」と思ったら、もちろん聞いているだけでOK。「聞いていたい」も大切にします。 「学び」とは、「教育」とはどのような姿をしているべきものなのか。そんな興味を持った、すべての“あなた”と向きあう場でありたい——。公開教育研究会は、そんな場です。コロナ禍の公開研はオンラインでリアルな場での関わりあいこの場で“あなた”と関わりあいたい

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