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公開研アフタートーク異なる立場の声を聴きあい語りあう場から生まれるもの千葉大学教育学部名誉教授。専門は教育学、ジェンダー・人権教育、生活指導論など。2015から20年まで、千葉大学教育学部附属小学校の校長を務める。10片岡 洋子 さん千葉大学教育学部名誉教授元千葉大学教育学部附属小学校 校長淺川 俊彦 さん東京大学教育学部附属中等教育学校 前副校長小鴨 文 さん奥武蔵創造学園 飯能市立奥武蔵小学校 教員片岡 洋子さん(以下・片岡):何より興味深いのは、生徒も分科会に参加することですね。一般的な教育研究会って、生徒たちは授業を受けたら終わり。分科会の時間には帰されてしまうことが多いですよね。自由の森では、生徒たちがただ研究対象として扱われて終わり、ではなく、発言する側にもなることが印象に残りました。たとえば日本語科の分科会で、中学2年生が「言葉の抽象性を考えたときに、自分が言葉を曖昧に使っていることに気づいた。もっと具体的に語る言葉を身につけたい」とか言うわけです。中2でこれだけ自分の言葉で話せるのか、と。淺川 俊彦さん(以下・淺川):教育の当事者である生徒が授業を語る。多分、今の日本の学校はどこも実現できていないと思います。保護者や生徒の意見を、学校運営に生かす三者協議会みたいな仕組みを持つところはいくつかあるけれども、授業そのものについて生徒が語る学校は稀じゃないでしょうか。小鴨 文さん(以下・小鴨):私も新鮮でした。しかもテーマ別分科会では、生徒が企画して司会もしている分科会もありましたね。参加者のいろいろな意見を柔軟にさばいていましたが、あれは大人でも大変。ずっと頭をフル回転させないとできないことです。片岡:こういう、中学・高校時代に自分の言葉で真摯に語りあう経験は、子どもたちにとって非常に重要なんです。今の子どもたちは大学に入ってから自分の言葉を持っていないことに愕然とします。自分の言葉よりも、どういう形式で表現すべきかをトレーニングされてしまっているから、大学で初めて意見を求められて、すごく苦労している。「あなたの考えは?」とたずねても有名な先生の書いたものをレポートにまとめてきたりね。一見しっかりした文章だけど書き手の考えが全くわからない。公開研終了後、参加者の3名にちょっと残ってもらってお話を聞きました。小鴨 文さんOgamo Aya片岡 洋子さんKataoka Yoko淺川俊彦さんAsakawa Toshihiko片岡洋子さんKataoka Yoko公開研、どうでした?

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