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本学園高等学校を卒業後、東京女子体育短期大学児童教育学科を経て、東京女子体育大学体育学部体育学科に入学。卒業後、他校での勤務などを経て本学園体育科に入職。現在8年目。カバディ部の顧問も務める。小学校からモトクロス競技に取り組み、全日本選手権も経験。大学時代はダンス部に所属。 「授業に参加する時の服装も、とくに決まりはありません。『動きやすいと思う格好で来てね』とだけ生徒に伝えています。準備運動はもちろん行いますが、授業は教員からの一方的な指示で進むのではなく、生徒と教員のやり取りの中で一緒に『つくっていく』ことが貫かれているのは、ほかの教科と同様です」。自由の森学園の体育科教員として13年目を迎える近藤さんが語り始めてくれました。 いわゆる運動神経のいい生徒の成績が良く、そうではない生徒の成績が悪いというような評価をすることもありません。この学園が体育で大切にしているものは「どれだけ自分の身体と向き合ったか」ということだといいます。 「初めてこの学校の体育を見たとき、こんな授業ができるのかと衝撃だった」と話すのは、今年で体育科教員4年目を迎える高橋郁光さん。大学生の時に学園の公開教育研究会に参加し、そこで触れた授業の進め方に「惚れた」とか。それが、学園に勤めるキッカケとなりました。「昔から、遊びながら授業を受けているのに、6段の跳び箱を跳べた子が5段階評価で“5”がもらえて、一生懸命取り組んでいるのに4段が跳べない子が“3”の評価しかもらえないことに違和感があったんです。それでいいのか? って」と、高橋さん。 自身は運動ができる側の人間だったのだけど、と高橋さんは振り返りますが、授業への取り組み方ではなく運動の「できる」「できない」が評価の基準となっていることへの疑問は、中高生時代から感じていたとのことです。 かつて、似たような違和感を教える立場から感じていたというのが、自由の森で教員を務めて8年目の宮内麻友美さん。学園の卒業生ですが、他校で体育教員をしている際に、「私は指示を出しているだけで、生徒と何も一緒に取り組めていないな」と、憂いていたとのこと。それでも、生徒たちからは「これだけ自分たちに付き合ってくれた先生は初めてだよ」と、言ってもらえたといいますが、それは疑問をますます深くするものでした。 「生徒たちは指示されたことをやるだけで、“深める”という経験ができていないような気がして。それでも最終的には実技試験があって、その結果で成績が付きます。もちろん、楽しんでいる生徒もいましたが、運動が苦手な子にとっては全然楽しくない時間だったと思います。体育着を忘れると、ペナルティでグラウンド10周とか、水を飲むのにも教員の許可がいるというルールがあったのも違和感がありました」(宮内さん)。7「できる」「できない」を評価の基準としない体育の授業の姿「指示を出すだけの体育」では生徒と何も一緒に取り組めない宮内 麻友美Miyauchi Mayumi

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