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「いろいろ試してきたね。牛の頭の骨から出汁を取ってミートソースを作ってみたこともあったよ」。そう話してくれたのは勤続35年、今でも食堂を引っ張ってくれているスタッフ、麺類担当の土屋洋子さんです。集団調理のセオリーをくつがえし、手間を惜しまずに作ることを大切にする、食堂のごはん。創立当時はレシピもなく、スタッフ同士で、どこかで食べた味の記憶をたどりながら、感覚とイメージで味を作り上げていたそうです。「味を見ながら、味を付ける」。食堂では、今でもそんな食事作りが脈々と受け継がれています。 「勤め始めた頃は、目からウロコの連続だったよ」と土屋さんは語ります。スーパーと自宅の行き来だけでは知ることのなかった、どこをとっても安心して食べることのできる食の世界を知り、いつも「自分の子どもにも食堂のごはんを食べさせたい」と思っていたそうです。試行錯誤を繰り返しながらミートソース作りの行きついた先は、多くの人の食生活に馴染むようなシンプルな材料と味付けでした。それは、卒業して自立と自前の食生活を営んでいく多くの生徒たちに向けた、先人の温かい想いと味の道しるべのように感じます。 「やっぱりミートソースがいちばん美味しいね」食堂には、スパゲッティだけでも8種類ものレシピがありますが、土屋さんのおすすめは、ミートソース。長年麺類を担当し、味の変化を感じてきたからこそ、その「美味しい」に重みを感じます。一度食べると、ふとした時に「久しぶりに食べたいなあ……」と思い出してしまう、自由の森のミートソース。たくさんの人に味わってもらいたい、おすすめの一品です。   1437年目のミートソース渡邉さやか (自由の森学園 食生活部)

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