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さん安藤 萌5821期生もりのあとを歩くAndo Moyuru 木の器を製作しています。拠点にしているギャラリー兼工房は、長野県上田市の野倉という街から離れた山深いエリアにあります。街に住む人に比べたら、あまり人に会わないような生活をしていますね。熊が出るので、熊よけの鈴は必携です。 作品づくりに使用している木材は、楓や桑、白樺に、ブドウやリンゴなど様々。近所で切り倒されている木から見つけてくるのが好きです。薪用にすら拾われなかったものが、私にとっては良い素材となることが多い。変形が激しいクセの強いものが好みですね。「すでにあるもの」で、しかもみんながいらないと思っているものこそいい。変わった人と思われているかもしれませんが、そこは「何を価値とするか」ということです。 硬い節や、木目が複雑になる穴などは、木を加工する際には多くの場合デメリットとされる部分です。当初は、私も「どう取り除くか」という考え方で苦労していましたが、次第に「そういう部分にこそ、美しさがあるのでは」と、考えがほぐされていきました。 研究を重ねていくうちに、技術も追いついてきて、節や穴の多い木材からも美しいと感じる形を導き出せるようになってきたと思っています。 そんな感じなので、同じ形のものを作ることはほとんどありません。一つひとつ面倒ですけどね。でも、だからこそ木で作る意味があると思っています。木は同じものなどひとつもありません。そこは「人」と同じかもしれません。11他の人は見向きもしないかもしれない。でも「自分はコレ」何を価値とするか木は人と似ている

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