morinoat_34
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様」なんていう異名を持つほどのベテラン陣のひとりです。開校2年目から食堂のごはん作りを支えてきてくれました。今年で勤続35年、退職を迎えたフミ子さんが辿り着いたカレー作りのコツは、本当にシンプルなもの。どこかの味ではなく自分の味を見つけることと、味わいを作っていくことって本当にわくわくすることなんだな、と教えてもらいました。「こだわらない」流儀を炒めていたと思ったら、次に見るときにはスパイスを乾煎りし、そのまた次に見るときは、それはもう味見の時。本当にあっという間にカレーを作るものだから、隠し味に何を入れたのかもわからないほど。のちのち「そういえばこの間、梅干しちぎって入れてたわ~」なんて、フミ子さんのカレー作りの秘密を知るのです。そうやって、誰かが作る味の秘密を人と話すことが、日々のちょっとした楽しみだったりします。とニンニクと生姜をたっぷり入れるだけで家のカレーもおいしくなるよ、と言います。その一つひとつが全部人に教えてもらったことだと言っていたけれど、同じことを繰り返して失敗しながらも確実に自分のものにしてきたのです。とで、味を決めていくのがフミ子さん流。良い意味でこだわりがありませんが、そこが最大の魅力なのです。基本を踏まえ、自分で味わいを作る。「いつも石原フミ子さんは、食堂内では「カレーの神フミ子さんのカレー作りは、さっきまで玉葱フミ子さんは、玉葱を弱火でよく炒めることあれこれ足すのではなく基本を大切にするこいろいろ買い揃えて味を埋めるのではなく、の味」にひと手間加えておいしく仕上げていく。カレー作りの真髄って、味や香りを重ねていくことで自分の味わいを作っていくことにあるのだと知りました。味を深める「その人らしさ」を訪れた多くの人の胃袋を掴むカレーのおいしさの秘密なのかもしれません。そこに「フミ子さんが」作ったカレーという人柄が加わることで、よりおいしく感じるのですから、いったいどんな魔法をかけているのだろうと思います。またいつかフミ子さんのカレーが食べたい、きっと食堂で働くみんなもそう思っているんじゃないかな。       35年間積み重ねてきた経験や味わいが、食堂14カレー作りの真髄渡邉さやか (自由の森学園 食生活部)

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