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渡邉さやか (自由の森学園 食生活部)お味噌のはなし お味噌は、日本を代表する発酵調味料のひとつ。食生活部の食事作りにも欠かすことはできません。食生活部設立当時は、出所の分かる原材料が手に入りにくかったこともあり、佐渡から大豆や小麦、玄米を取り寄せて神川町にあるヤマキ醸造さんに、材料を持ち込む形で作ってもらっていました。 今日まで、麦味噌と米味噌の2種類をヤマキさんから送っていただいています。麦味噌と米味噌を1:1の割合にして合わせ味噌を作り、毎日使っています。お味噌汁・田楽味噌・味噌煮など、和食のメニューにはなくてはならない存在です。 ほくほくの茹で大豆と白い胞子をまとった麹(米・麦)・食塩を混ぜ合わせて発酵させたものが、誰もがよく知るお味噌の姿。時間をかけて作られるお味噌は、江戸時代には「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」なんてことわざがあったほど、身体に良いものとされていたそうです。 昔から、人は生きるために食べ、食べるために作る暮らしをしてきました。食生活部で働く人たちも、毎年2月上旬くらいになると、「じぶんの家のため」のお味噌作りに取り掛かり、1年後の開封を楽しみに日々を過ごしています。私たち自身もまた、食べるために作る暮らしを大切にしているという訳です。 ある人が『「風土の食べものと人間」という関わりを探る楽しみが私たちには与えられている』と言っていました。つまりそれは、その土地の食べものと人の営みには生きるヒントがちりばめられていること。そうした日々の中から命の育み方を見つけることは楽しいことなのだと言われた気がして、はっとしたのでした。 生きていくために自然の中から学び、自然界の生きものと手を取り合うことで生まれたお味噌。ひっそり、だけれど根を張りめぐらせて、私たちの食事を支えてくれています。 何気ない日々の恵みに感謝して、今日も明日も明後日も「いただきます」は続いていきます。

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