morinoat_28
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12「照明係」という役割の人がいることを知りました。 そんな作業をする人たちがいることに思い至らなかった当時。すぐに「やってみたい!」という強い思いが込み上げてきました。でもしばらく足が出ず、照明係を担う「視聴覚委員会」に入部したのは、新入部員を募集していた春でした。 今思えば、なんてことないのですが、「自分なんかにできることなのかなだろうか。でもやってみたいな」とモジモジしちゃって。自由の森学園の部活やサークルみたいな集まりって、扉を開けて「入りたいんですけど〜?」と一言いえば、どこだって歓迎してくれるのですけれどね。このふつふつしていた時期の葛藤は今でもよく覚えています。なぜか充実していた照明機材 照明係は中学から高校まで合わせてだいたい5〜6人。多少の変動はあっても毎年それくらいでしょう。だいたいこれくらいの割合で、舞台に出るより、見るより、照明を当てることに喜びを覚えるタイプの人が出てくるのでしょう。 なかには「舞台にも出たい!」という人もいましたよ。彼が舞台に出る番になると、照明が人手不足になって大変でしたけども。私はといえば、今でもスポットライトを浴びる側になりたいと思ったことは一度もありません。 自由の森の体育館の照明機材は、やけに充実していたんです。新国立劇場の照明設備は、あの体育館の設備の延長線上にあるといってもいいと思います。なぜそんなものがあったのか知りませんが、そんなプロ用の機材を中学生から使えるのだからそれは面白いですよね。結局高校を卒業するまで照明係を続けました。「自分なんかにできることなのかな、でもやってみたいな」って、4ヵ月もモジモジしてました。

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