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9要なの?」という声があるほど大学の研究そのものが厳しく問われています。その一方で社会に関心を持ち、さまざまな研究活動をしている高校生も増えています。自由の森の生徒の皆さんには、東大の研究者や学生に対して刺激を与えていく存在としてご活躍いただき、中等教育と大学教育の接続をさらに進めてほしいと願っています。菅間:先日、とあるテレビ番組で東大出身の女性たちが、東大生は根拠がないとしゃべれないと語っていました。根拠とか理由がはっきりしないとものが言えない「正解主義」みたいな空気があると。でもそれではいつまでたっても専門家以外の市民は発言できないままです。そういう正解主義に対して、思ったことや考えたことをフランクに発信できる自由の森はカウンターになるかもしれませんね。正解のない問いに立ち向かう小玉:もっと広く目を転じると、市民社会にもポジティブな影響をもたらすと思います。自由の森は子どもたちが市民として主体的に社会に関わっていくための思ったことをフランクに発信できる自由の森は「正解主義」のカウンターになる「シティズンシップ教育(※3)」も実践されています。菅間:市民教育って目の前の出来事や世界のありように関心を持ったり自分の意見を持つことがとても重要だと思うんです。日常の家庭生活や学校生活を充実させること、たとえば「自分はここにいていいんだ」とか「ここでなにかやってみたい」という気持ちを育むことが非常に大切だと思うんです。世界に関心を持てなかったら世界を良くしようなんて思わないですから。そういう関心を耕すことは不十分ながらもできているかなと思います。日本語科(国語)でも数学科でも、相手の意見を聞いて自分の意見を伝えるということをやっていて、さらに社会科の授業ではもう少し深く社会の具体的な問題をみんなで考えています。小玉:政治・経済演習では政治家に手紙を書く授業もありますね。菅間:政治家への手紙については、生徒自身の願いを整理し、その願いと議員や候補者の政策のマッチングを調べて質問を書き送ります。自分の考えとすごく近い人と真逆の人両方に送ってごらんって言ってるんですけど、返事の有無にかかわらず結果をレポートにして提出してもらいます。国政選挙がある年に行うので、参院選のある今年もやる予定です。ヨーロッパでは小さなサークルを作って候補者と対話するといいますね。日本だ自由の森学園の社会科の授業より。高3では、生徒が自分で選んだテーマで授業を行う時間がある。内容は「生徒自治の学校」「人工知能について」などさまざま。※3 シティズンシップ教育他者や多様性の尊重、個人の権利と責任といった市民としての資質・能力を育成するための教育。シティズンシップのためにメディアリテラシーや政治的リテラシーなども求められる。1990年代以降、各国の教育改革の中で重要な課題として議論されている。

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