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昆布の佃煮食堂の入り口すぐ。ドアを開けば春の香りを真っ先に感じることができる売店には手作りのおにぎりやサンドウィッチが並びます。「おにぎりに入ってる梅干しも食堂で作ってるんだよね!」梅干しだけじゃありませんよ。昆布おにぎりの佃煮も手作りです。「それもなんとなく気づいてたよ!」おっと、そうでしたか。では、その昆布。どこからやってくるか知っていますか。実はカツオ出汁を取った後の「出し殻昆布」なんです!そばや、うどんのメニューがある日。おいしいカツオ出汁を取った後には、大量の出し殻昆布。でもこれを捨てるなんてもったいないですよね。細く切ってお醤油、お砂糖、お酒にみりん、お酢、そして梅干しの種を入れゆっくりじっくり煮ていきます。「梅干しの種……!?」これが食堂のごはん作りの知恵と工夫。手作り梅干しの果肉はおにぎりの中へ。残った種がこれまた大量大量。その種を一緒に煮ちゃえばお酢と同じく梅の酸でも昆布がよりやわらかく、またタネの周りに残った果肉もムダなく剥がれほんのり梅風味に。一石二鳥、いや三鳥です。お昼におそばだけでは足りない時は売店でこんぶのおにぎりを。食材を丸ごと味わえる瞬間ですね。食堂のごはん作りは“知恵と工夫”と“ひと手間”。これはまさに一つの家庭でのごはん作りに見られる光景。昆布の佃煮ひとつを取ってもそれが見えてきます。子育てをするお母さんたちが中心となり立ち上げた自由の森の食堂は、様々な経験を積んだ先輩たちの知恵と工夫が集まり、それが次の子育て世代へ、さらにその次の世代へと受け継がれています。この伝承が途切れることなく繰り返されてきたからこそ今の食堂があるのです。それを受け取った私たち。今度は食堂の枠を超え、これからを担う生徒たちに伝承していく、そんな空間を作ることができればと、新入生を迎え改めて感じています。河野 翔 (自由の森学園 食生活部)昆布の佃煮出し殻昆布 500 g【調味料】醤油 125 g (昆布重量の25%)酒  100 g (昆布重量の20%)みりん 100 g (昆布重量の20%)砂糖 100 g (昆布重量の20%)酢 25-50 g (昆布重量の20%)梅干しの種 適量※梅干しの種を入れる場合は酢の量を半分にする【作り方】① 出汁を取った後の昆布を好みの大きさに刻む。② 昆布と調味料を全て鍋に入れ、火にかける。③ 弱火で煮詰めて、水分が飛び昆布がやわらかくなれば完成。お好みでゴマを振る。【コツ!】火加減が強いと昆布は固いまま水分だけ飛んでしまいます。弱火でゆっくり煮ることがポイント!14

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