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1010鬼沢: 率直にお聞きしますが、同じ地域とはいえ公立の小学校が私立高校と連携するのは、いろいろと難しさはありませんか? あまり好ましくないと思う方もいらっしゃるのでは? 塚内:何も問題ありませんよ。評議員になっていただいたことも、潤滑に連携を進めるきっかけになりました(※編集注 鬼沢理事長は昨年より第二小学校評議員に就任)。これからももっといろいろな取り組みを通して、関わり合っていただけると嬉しいです。鬼沢:それならよかった。どうしてもそういうことを考えちゃう。塚内:この学校は児童数が少ないですが、それは決してマイナスなことではなく、それだけ一人ひとりに充実した対応ができるということでもあります。ひとりの教員に対して児童数は10人くらいです幸せのバケツを満たすことの大切さから、それだけ目が行き届くし、例えば体育の跳び箱などでも、跳べるようになるまでたくさん練習できる。それだけ多くの成功体験が積めるということでもあります。そこに地理的にも近い自由の森学園のみなさんとご一緒できるのは、とてもありがたいです。鬼沢: うちの生徒たちにとっては、早めの教育実習みたいなもので、何をするにしてもとても良い経験をさせてもらっていると思っています。算数でも、走り方でも他者に何かを伝えることは、とても意義深い。こちらこそありがたく感じています。塚内:私は「子どもたちは幸せであるべき」だと思ってこの仕事をしています。幸せのバケツというものがあるとしたら、それが満たされていれば、辛いことや不幸なことがあっても乗り越えていく力になりますし、人を幸せにすることもできる。ですから、小学生のうちにできるだけ幸せのバケツを満たしてあげたいと思っています。それは保護者にも影響することですし、そういう大人が増えれば地域も幸せになっていくはずです。鬼沢: 自由の森学園では、高校生までその幸せのバケツを満たすための活動をしている感じですね。社会に出ると、競争に目を奪われがちですが、競争とは無関係な要素が自分の中にあると、少なくともそういう世界があると知っていると、しんどいときも踏みとどまれる力になると思うんです。そのために重要なのは、他者を信頼できるかということ。人は信頼できるという体験をしてから社会に出ると、何かあったときに乗り越える力や踏みとどまれる力が違ってくると思いますし、塚内さんがおっしゃるように、他者に与える影響も変わってくると思うんです。

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