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7宮みや永なが 琢たく詩じ さん大豆工房みや代表取締役。先代の思いを引き継ぎ、自然豊かな越生の地で豆腐づくりに励む。「食の安全」をコンセプトに、本物を味わう “いのちある食卓” の提供を目指している。 社長の琢詩さんが自由の森の食生活部と出会ったのは、琢詩さんが19歳の頃だったとか。なんと半年間、食生活部で働いていたことがあるそうです。 「高校卒業後、父親の“世間を知ってこい”というひと言で、お取引先でもあった自由の森の食堂で働かせていただくことになったのです。高校を卒業してすぐだったのですが、自分とさほど歳が変わらない自由の森の生徒たちが、自分で考えて行動することを大切に生活していてなかなか衝撃を受けましたよ。 もっとも印象的だったのは、阪神・淡路大震災直後だった当時、数名の生徒が『ボランティアに行こうと思う』といって、準備を始めていた時のこと。現地とのやりとりも全部自分たちでやって、被災者の方々に迷惑をかけないようにどう配慮するべきか話し合っていたんです。 ほどよいピリ辛の中に、ちゃんと豆腐の味も楽しめる「麻婆豆腐」。食堂の人気メニューのひとつです。 ほかにも、大豆の味わいを楽しみながらも、しっかりとお腹にたまる「豆腐ステーキ」。お醤油や生姜との好相性にご飯がすすむ、黄金色に揚がった「揚げだし豆腐」。大豆の味をシンプルに楽しめる「冷奴」。さらには味がたっぷり染み込んだきつねうどんやお味噌汁に欠かせない「油揚げ」。どれも自由の森学園の食堂で、日々生徒たちに親しまれている定番メニューです。 これらの食材は、飯能のとなり町の越生町にある大豆工房みやさんから仕入れています。その出会いは30年以上前。当時の在校生保護者からの紹介で、現在の社長である宮永琢詩さんのお父さんの代からお付き合いが始まりました。 2代目の琢詩さんも、その確かな生産技術に裏付けられたこだわりは30年変えることなく、材料はシンプルに、手間は惜しまず安全とおいしさを追求した“安心”なお豆腐を日々届けてもらっています。豆腐づくりへの思いが確かなものになった、食生活部での半年間自由の森学園の食堂では、ほぼ毎日みやさんの食材が活躍中ですお味噌汁具材の定番“お豆腐”。口に入れればふんわり、その中からぎゅっと詰まった大豆の味が感じられます。ネギにワカメにナメコに、他の具材とも相性ピッタリ。揚げだし豆腐菜種一番搾りの油でカラッと揚げた、黄金色に輝くお豆腐。大豆のうまみ、油の香り、一番出汁を使ったおつゆの風味、すべてのいいとこ取りをした一品です。当時の私が思いもしないようなことに、年下の彼らが当たり前に取り組んでいた。実は、私も彼らの思いにつき動かされて、食堂を休ませてもらい、急遽生徒たちと一緒に被災地に向かわせてもらったんです。 そして食生活部そのものに対しても、安心できる食材を使い、出汁をいちからとっていることや、ルーを使わずスパイスで調理するカレーなど、しっかりと手間をかけてご飯を作る食生活部の実践を目の当たりにして、ここで自分の父親の豆腐が使われていることを誇りに思うようになったんです」。 そんなつながりから始まった琢詩さんと自由の森、そして食生活部との関係は、今も形を変えて続き、おいしいお豆腐を日々提供していただいています。麻婆豆腐みやさんの木綿豆腐を使った食堂の麻婆豆腐。お肉の味とごま油の香りが引き立つ中でもしっかりとお豆腐の味と食感が感じられます。お昼でも夕飯でも人気メニューのひとつです。

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