morinoat_23
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12 東京の練馬、石神井公園の近くで司法書士事務所を営んでいます。昔の僕のことを知っている人に再会すると、よくこの職業のことで驚かれます。というのも、小さい頃はあまり勉強は得意ではなくて、母親にもおそらく将来を心配されていた子どもだったのだろうと思います。自由の森学園で過ごした高校時代も、際立って学びに打ち込んでいたタイプではありませんでしたからね。 仕事関係の方からも「っぽくないですね」と驚かれることは頻繁です。喋れば関西弁が出ちゃうし、いかにも士業という様なカチッとした感じの風貌ではないからかもしれません。とはいえ、仕事はもちろんしっかりとやっていますよ。生きていくために「法律を知る」 自由の森学園を卒業した後は、京都にある龍谷大学に通っていました。京都って賃貸物件の更新料がとても高額で、毎年、家賃の2か月分も請求されるんですよ。当時は家賃5万円のアパートに住ん「っぽくない」司法書士でいたのですが、ある日更新料10万円の請求書が届いて、「これ本当に払わないといけないのかな?」と、消費者生活センターに相談に行ってみたのです。 すると「この更新料は、法的に認められているものではない」という返答。びっくりですよね。だから「払う義務はない様なので、払わないでいいですか」という旨の手紙を不動産屋さんに出すことにしたのです。そうしたら、あっさりと「分かりました」と返事が返ってきたのです。こんなことで10万円もの大金を払わないで済んでしまった。この時に「法律を知らんと損をするんやな」と身をもって知ってしまったんです。 法律を理解しておくことは、生きていくのに大事なことなのだなと思い知り、そこで最初に頭をよぎったのは「弁護士になろう!」という思い。我ながら極端ですよね。でも、それまで専門的な勉強をしてこなかった僕が、膨大な知識が必要となる弁護士を目指すのはさすがに無理があるなと、即座に挫折しました。 その時に、違う形で法律に関われる仕事はないかな、と思って見つけ出したのが司法書士でした。え  りそれは自分で選択したことに必要な学びだったから高田 裕史 さんTakata Hiroshi11生期もりのあとを歩く>37

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