morinoat_22
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55の業務です。極論、管理しないで山が荒れても、近くに人が暮らしていないなら問題ありません。でも、近くに人が住んでいるのであれば、木が倒れたり土砂崩れがあったりすれば困ります。そうならないように、間伐をしたり人の手で管理したりする必要があるというのが私の考え方です。それに、山の杉や檜は先人が汗を流して植えたものですから、僕たちがしっかりと受け継いでいかなくてはいけません。山に手を入れて木を使って生かして、それを次につなげていかないと。 木を通して、その先にいる人を大切にしていきたい。そう考えることで、自分に返ってくるものもたくさんあるんです。参加するつもりでスケジュール調整していたので、今はだいぶのんびりしちゃっていて。でもノルウェーの世界大会は、参加こそできませんが、観戦しにいこうと思っているんです。妻にはまた「何言ってんの!?」って言われていますけど。競技で木を伐ること 「なんで木を伐る技術を競うのか」と思う方もいるかもしれません。林業の仕事は、危険を伴うので初めこそ経験者がしっかり教えてくれますが、一通り仕事を覚えたら離れ離れで仕事をすることがほとんど。伐木技術を人と見せ合うような機会はなくなってくるんです。 伐木競技は、多くの仲間と技術を比べられる、技術力向上の格好の機会。それに観客の皆さんにも、ダイナミックでありながら緻密な林業の面白さを伝えることもできるから、業界全体を盛り上げる意味でもいいことだと思っています。 じつは、会社を辞めて独立した背景には、より競技に集中できる環境を作りたいという想いがありました。 数年前から、地元の鬼石町で、「鬼石伐木チャンピオンシップ」という伐木競技会を自主開催しています。これまでに3回開催しており、今後も継続していきたいと思っています。 競技を通して林業を活性化できることをどんどんやっていきたい。面白いからやっているというより「面白くしていきたい」という感じですね。木を通して「人」を見る 林業を続けているうちに強く感じているのは、「木の向こうには必ず人がいる」ということ。人が見えない仕事は、ただ極論、管理しないで山が荒れても近くに人が暮らしていないなら問題ありません伐木競技では、実際に木を伐り倒す「伐倒競技」「丸太合わせ輪切り競技」「接地丸太輪切り競技」「枝払い競技」、チェーンソーの刃を交換する「ソーチェン着脱競技」の5種目で競われる。地元の鬼石町で今井さんが立ち上げた伐木競技会「鬼石伐木チャンピオンシップ」より。

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