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444会うと発生する「チェレンコフ光」という青白い光を利用して、宇宙ニュートリノをつかまえるんです。こんな感じかな?伊藤:うん、ありがとう。少し前に東京大学の小柴昌俊先生(※2)のグループが、超新星の爆発から生まれた11個の宇宙ニュートリノを見つけてノーベル物理学賞を受賞したわけだけど、さらに大きな、1000兆電子ボルト以上のエネルギーを持つニュートリノを世界で初めて検出したんだよね。いわゆるニュートリノ天文伊藤:安野が猿橋賞(※1)を受賞したことは学園でも話題になっています。生徒はもちろん、文系の先生たちまで「ニュートリノってなに?」って、たくさんの人に聞かれましたよ。もちろん授業でもすべてのクラスに紹介しました。生徒たちも卒業生の受賞は嬉しいみたい。物理学に目を向けてもらう、いい機会になりました。石原さん(以下 石原):わー、それはとても嬉しいですねえ。伊藤:それでは話を始める前に、研究の内容を改めて簡単に聞かせてください。石原:はい、宇宙から飛来する超高エネルギーの素粒子「ニュートリノ」を観測・解析して、その発生源を探る取り組みです。ニュートリノは電荷がないので、他の物質とほとんど反応しないうえ、遠い宇宙から来たものは非常に数が少なく、大規模な観測装置が必要です。そこで南極の氷を2,500m掘り進めて、5,160個の光検出器を設置しました。それが1立方キロメートルもある巨大なニュートリノ観測施設「IceCube(アイスキューブ)」です。ニュートリノが水や氷などの物質と出学を牽引している。すごいことだね。石原:ありがとうございます。私は、たまたま今こういうことをやっているっていう感覚で、学者っていう意識がなかったんですけど、2年くらい前からやっと「私は物理学者です」って、小さな声で言えるくらいにはなってきましたね。伊藤:IceCubeは12ヵ国が参加する国際プロジェクトとのことですよね。そこでワーキンググループのリーダーを務め科学者は忖度したらおしまいなんです石原 安野(あや)さん/1974年静岡県生まれ。自由の森学園高等学校卒業後、東京理科大学理学部第二部物理学科を経て、テキサス大学オースティン校大学院博士課程修了。2005年から、千葉大学ハドロン宇宙国際研究センター(ICEHAP)にて、「IceCube」によるニュートリノ観測に参加。13年に日本人初の国際純粋・応用物理学連合(C4)の若手賞を受賞、2017年には第37回猿橋賞を受賞。6期生。※1 猿橋賞:「女性科学者に明るい未来をの会」が、自然科学分野で優秀な研究業績を収めた50才以下の女性科学者に贈られる賞。1981年の第1回以来、毎年1名に授与されている。石原さんは、昨年の2017年に第37回猿橋賞を受賞した。※2 小柴 昌俊:日本の物理学者・天文学者。2002年にノーベル物理学賞を受賞。岐阜県の神岡鉱山地下にあるニュートリノ観測施設「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」の生みの親。宇宙で発生したニュートリノの観測に初めて成功した。左:2009年、米軍機にて南極点近くにあるIceCubeへと赴いた時の1枚。上:IceCubeは、国際共同プロジェクト。12ヵ国の研究者と共に、実験を進めていく。

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