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 和気閑谷高校の、総合学習を通して学校を町に開いていくやり方は、学校の中で完結していた学びの一部を地域で担っていく取り組みです。簡単に「地域と学校をつなげる」と言っても、すべてが手探りです。そんな状況の中で、両者の視点を持てる私のような立場の人間が携わることは、少なからず物事がスムーズに運ぶお手伝いができている様子。来年の地域おこし協力隊の任期終了後も、しばらく和気町に残って、第三者の立場で学校教育に関わることや新しい働き方を探っていくつもりです。身にしみて、「教員って、すごく大変だし、尊い仕事なんだ」と実感しましたね。そんな中、同僚の先生に言われたのが、「江森さんは生徒を待つ人ですね」という言葉。そういえばそうなのです。確かに生徒がザワザワしていても、生徒が何に反応しているのか観察しているし、議論が進まなかったり、まとまらなかったりする時は一緒に考えている。それは自由の森学園では普通に教員がしてきてくれたことだし、「無理やり覚えることはできても、無理やり“学ぶ”ことはできない」という自由の森の考え方が根っこにあるからかもしれません。第三者の立場だからできることがある 学校の現場に飛び込んで感じた一つの違和感があります。それは、キャリア教育だったり食育だったりと、なんでも「○○育」と名付けて学校に押し付けるような世の中の傾向です。現場の先生たちはすでに、いっぱいいっぱい。自分たちが生徒として経験したことがない探究的な学びにどう取り組んだらいいのか分からず、悩みながら試行錯誤している先生も少なくありません。13

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