豊かな自然の恵みを受け取り、森や川と共に生きる文化を育んできた飯能市。31年前に、この地で開校した本学園は、長きに渡ってその環境を生かしたさまざまな授業や行事を重ねてきました。
日々の生活の延長にある自然を、じっくり味わいながら体験し、考え、学ぶー。 :その方針をさらに発展したものとするために、自由の森学園は、このたびユネスコスクール加盟校への参加に向けた準備を進めています。
左上から、選択「林業講座」、美術「染織」、中学森の時間「稲作」、美術「木工」、選択「オルタナティブハウスをつくる」、中学「八ヶ岳登山」。ユネスコスクールとは?
さまざまな視点で自然や文化を「めぐる」
自由の森学園の教育
「緑いっぱいの環境の中で学びたい」。入試面接で、しばしばそう話してくれる入学希望者の方に出会います。たしかに、四方を森に囲まれた環境をもつ私立学校は、ほかではなかなか見られません。
学園ではその環境を存分に活用して、飯能市の自然や文化、その間にあるものと密接に関係する授業が数多く設けられています。代表的なものを挙げると、中学校のカリキュラムでは近隣の田んぼを借りて行われている「稲作」や、「森林体験」が。高校では、「農業」「林業」「選択自然」「飯能地域研究」「森と木の家」などの選択講座があります。
その方針は、自然環境や文化と接点の多い理科や社会といった領域に留まりません。たとえば美術の授業で取り組む「木工」では、一人ひとりが原木から材を作り出すところから始めます。「染織」では、森の中で集めてきた植物を煮立てて、草木染めに。それらは作品づくりの過程でありながら、素材と向き合うことを通して、自分自身と地続きのところにある「自然そのもの」を実感する時間でもあります。
このような、自然環境を体験しながら得る学びを日常として味わいながら、それぞれが自分のものとして吸収していく時間は、都市部では決して得られないものです。
ESD(持続可能な開発のための教育)の推進を通して、より視野の広い学びへ
あたかも地球温暖化による気象変動が国際的に語られている今、このような教育実践は、次世代を担う子どもたちの未来に直結するものだろうと考えています。そして現在、このような取り組みは、世界的に「ESD(EducationforSustainableDevelopment・持続可能な開発のための教育)」という名前で呼ばれ、その必要性が広く認識されています。
「ユネスコスクール」は、そのESDの推進拠点校となる教育機関のネットワークです。自由の森学園は現在、その参加に向けての準備を進めています。ユネスコスクールへの参加によって、国内はもとより、世界中のESDを推進する多様な教育機関との充実した連携が期待されるものです。
学園では、この取り組みを各教科における学びの視野をさらに広げていくきっかけとして、また、学園の教育実践を総合的に位置付けていく機会として、幅広く活用していこうと考えています。