自由の森学園 中学校・高等学校 学校案内 2022
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 視覚や触覚など言葉では置き換えられない感覚や経験を頼りに、じっくりと作品に向き合う時間です。誰かが決めた価値基準ではなく、あなた自身が見たものや感じたもの、かたちにしたいものを絵画、木工、染織の技法で表現します。ふだんの生活の中にあるモノ・コトが自分というフィルターを通したとき、どのように色を変えるのか。自分らしさを再発見し、なにげない日常を見直す体験です。 中学ではまず自分が好きなものを描き、クラスのみんなでコラージュを作ります。共同作業を通じて「こういう趣味があるんだ」「色づかいがきれい」「自分もやってみよう」と会話が生まれ、ふだんの教室では気づかなかったクラスメイトの一面に刺激を受けることも。「広告模写」の授業は、美術を苦手にする生徒も気軽に筆をとりやすいテーマですが、筆を進めると、やがて本物の広告と自分や仲間の作品の違いに、目を見張る様になり、対話が始まります。 2年の木工や染織では、木や糸の手ざわりや工具の手ごたえなど身体的な感覚を大切にしながら作品を作りあげていきます。 選択制となる高校では、毎年同じ分野を続けたり変えてみたりと、興味や関心に合わせて履修できます。いずれも1年間、または学年をまたいで1作品に取り組みます。写真撮影やスケッチをしながら構想を練っていく時間は、「自分ならどんな色を選ぶだろう?どんな手ざわりがいいだろう?」と自らの着地点を文字どおり手探りで見つけていく作業です。 迷いや気づきによって自分の内面が変化し、その変化が作品にも表れるといったサイクルをくりかえし、悩んで手が止まる時間も含めて自分だけの表現になっていくのです。〈美術棟〉ギャラリーも備えた、2階建ての美術専用棟があります。1階は染織の授業。2階は絵画の授業などに使用されています。大きな音を出す木工の授業は、木工室という専用の棟で行います。糸を紡ぎ、木を彫り、日常を描く。その過程から見えてくる大切なものに触れる【染織】植物を使った染めものと、糸紡ぎ、機織りをします。いずれも一つひとつの工程に計算が必要な難しい作業ですが、経験を重ねていくうちに熟達し、自然の色の美しさやぼこぼこした糸のおもしろさと、自身の思い描いたイメージを重ね合わせていけるようになります。染液には校内に生えている植物も原料に。気付きも迷いも受け止めて美術Art美術34

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