自由の森学園 中学校・高等学校 学校案内 2021
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 絵を描くこと、生活で使う物を作ることは、人間が古代から続けてきた大切な営みであり、その行為に打ち込むことは、素材の手触りを通して、自分自身と向き合う時間となります。 自由の森学園の美術科には、絵画制作、木工、染織の3分野があります。絵画で取り組むのは、石や毎日通る通学路、自分の目など、日常の題材を扱う絵の制作です。対象をじっくり見つめ、その中で感じた思いと向き合うことに長い時間をかけます。それからスケッチを重ね、さらに時間をかけて1枚の絵を描き上げていきます。 木工では、まず作業で使う「木づち」を自分の手で作るところから始めます。それからその木づちを使って大きな器を彫ったり、原木から一木造りで大きな椅子を彫り出す制作を行います。固い木の手応えや匂いを全身で感じながら、その木が生きてきた環境に思いをはせ、「その木らしさ」を表すカタチを探していきます。 染織では、植物を使った染色と、糸紡ぎ、機織りをします。どれも一つひとつの工程に計算が必要な繊細な作業ですが、経験を重ねていくうちに熟達し、自然の色の美しさや、ぼこぼこした糸のおもしろさと、自分が思い描いたイメージを重ね合わせていけるようになります。 いずれの分野でも、最初は集中するのに時間がかかることもあります。しかし手を動かしていくうちに、多くの生徒が無言になり始めます。寡黙になるのは、作品と向き合うその空間が心地良いから。完成したとき、彼らが見せてくれるのは、その過程がどれほど自分に必要だったかを物語る、満面の笑顔です。〈美術棟〉ギャラリーも備えた、2階建ての美術専用棟があります。1階は染織の授業。2階は絵画の授業などに使用されています。大きな音を出す木工の授業は、木工室という専用の棟で行います。美術糸を紡ぎ、木を彫り、日常を描く。その過程から見えてくる大切なものに触れる◤素材と向きあう時間の中で34

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