季刊もりのあと別冊2022
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8コロナ禍で、中止や大幅な縮小開催があったものの、体育祭はみんなで楽しめる好きなイベントのひとつだったという。選択講座「環境学」で訪問した、ソーラーシェアリングの現場にて。農業と太陽光パネルを共存させた取り組みを見学しました。気づいた違和感。その原因を突き止めたいコスタリカ留学で知ったのは日本の姿持ち帰った疑問の答えを探して 地元の公立校に通っていた中学生の頃から、みんな同じ制服を着て、校則を守って、同じようにふるまってと、何かと選択肢がないことに違和感を覚えていました。そんな中、高校を探していた時に自由の森の音楽祭を見に行きました。衝撃を受けましたね。 自由の森の高校に入学した当初は、決められたことに忠実であることが求められていた中学とのギャップに少々戸惑いましたが、すぐに慣れました。 中学で入っていた野球部は、週6で練習がありました。仲間と過ごす時間は厳しいながらも楽しかったけれど、お仕着せのハードな練習に、ときとして「なんでこんなに練習しているんだろう?」と、分からなくなることがありました。 自由の森で入った陸上部では、みんなで話し合いながら「部活をつくっていく」ことができた。いい記録が出せるようになることはもちろん大事だけど、誰もが陸上を楽しめることを大切にした時間は、質の違うものでした。 こうやって思ったことを言語化できるようになったのも、高校に入ってから。中学までは違和感があっても「イヤだ」という気持ちが先行していたのが、自由の森で何かの違和感に触れた時には「なんでだろう」とその背景に目を向けるようになりました。 「違和感があるんだ」といえば、ここには「そうなんだ、どんなこと?」と耳を傾けてくれる人たちがいる。その安心感がそうさせるのだろうと思います。 高2の時に、コスタリカに留学しました。コロナ禍の影響で1年間滞在する予定が2ヵ月で帰国することになってしまったのですが、その短い間にも得られたことは多かったです。 日本は先進国で豊かだとされているけれど、実際どうなんだろう? という思いから、新興国であるコスタリカを留学先に選びました。 滞在中は、気づきの連続でした。そのひとつが環境への配慮の違いです。日本に先立って、当時すでにレジ袋が廃止されていたり、学校の生徒がみんなマイボトルを持っていたり、時間割の中に環境の時間があって話し合いをたくさんしたり。帰国後の日本では、プラスチックがたくさん目について、コスタリカのような小さい国が頑張っていることを、日本のような国々が台なしにしているんじゃないかと感じました。 留学をキッカケに、帰国後、高3の選択講座で「環境学」を取りました。自然資源の活用方法やエネルギーのこと、プラスチックごみの問題などについて学ぶ中では、環境問題と政治や教育といった、他の分野のつながりも見えてきました。 さらに学びたい気持ちが加速して、自分でアポをとって、NPOや何人かの国会議員に話を聞きに行ったこともありましたよ。その中で地域ごとに環境に向き合う方針が違うことを知り、日本全体で一気に問題解決をするのは難しいと感じました。そこで、「地域という単位で環境問題に取り組むのがいいんじゃないか」と思うようになったことで、地域と環境について学べる、都留文化大学の地域社会学科に進学することにしました。 受験時には、小論文による入試を行う大学をいくつか併願していたのですが、都留文化大学は学術的な内容を求めらるもので、1番難しかったかも。考えをまとめる文章を書くこと自体は、評価表や日本語のレポート課題で鍛えられていたので、なんてことないのですが、調べる必要があるものは、自分で資料を探したり、教員にアドバイスをもらったりしながらなんとか書き上げました。 環境問題は、間違いなくこれからを生きていく人類共通の大きな課題。僕らの世代ですべてを解決することは簡単ではないけれど、広い目で解決の糸口を見つけていく学びを進めていきたいと思っています。考えることを続けていると、考えることを続けていると、つながりが見えてくる。つながりが見えてくる。

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