季刊もりのあと別冊2022
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3「曖昧な思いもそのまま描くことができることが、美術の良さのひとつ」と、在校時に語っていた村上さん。大学ではデザインという、美術とはまた違う角度の表現を追求する。ですが、同級生のおしゃれな女の子が「私は誰かのためじゃなくて、自分のためにおしゃれしている」と発言していてハッとさせられたり、男子生徒からも「男の生きづらさ」という話もたくさん出てきたり。人の思考に触れることで、自分が変わっていく。こういう関係性の中にある表現を追求したいという思いが芽生えたんです。 在学中は、自分と向き合うことが中心のファインアートのフィールドを中心に制作活動をしていましたが、そこで培ったものを土台に、人との関わりの中に出力できるデザインを学んでいきたいと思っています。 大学に入学してまだ間もないですが、多摩美は自由の森と同じくらい独特な学生が多そうです。昨日は、会ったばかりの人に突然「昆虫食に興味ある?」と聞かれて、たじろいでいたところです。 今、グラフィックの中でも、興味を持っているのがエディトリアルデザイン。手に取ってもらえる本のデザインってどんなものなのでしょう。いくら魅力的な内容でも、伝わるデザインでなければ見てもらえない。まずはここを足場に、私なりの「伝わるデザイン」を追求していきたいと思っています。

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