季刊もりのあと別冊2020
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学園祭で大人気のミニ列車 自由の森をひと言で言うとなんだろう。同じことを言う人は多いと思うけど「やりたいことは、ひとまずなんでもやれる場所」かな。 授業が、自由に考えを交わす場であることももちろんそうだけど、高校にあるたくさんの選択授業は、僕が楽しんだもののひとつ。「スペイン語」「林業」「木版画」「手ぬい」とか、なかには自分だけでは手を出せなかったと思える分野も。学年が上がると選択講座のコマが増えるので、学びを自分で作っていく感じになります。 部活動は、どこの学校にもあるようなものから、マイナーなものまでいろいろありますよ。僕が中学から所属していたのが「鐵道研究部」。みんなには、「てっけん」と呼ばれています。列車のレポートなどをまとめた「鐵研ニュース」を発刊したり、合宿に出かけたり。新幹線に乗らず中央線経由で名古屋へ行き、鉄道のミュージアム「リニア・鉄道館」も見学に行きました。 学園祭では、恒例となっているミニ列車を走らせます。1回100円で乗車できる大人気のアトラクションでした。運転できるのは、全部員20人中僕を含めて5人。歴代の先輩たちが作ってくれたテストがあって、カーブや勾配でのスピード調節、脱線したときのリカバリーや安全確認などのテストをクリアすると、オリジナルの免許証が交付されていました。ミニ列車といっても意外と操作が難しいんですよ。審判として体育祭を支える 行事づくりも、自由の森で行われている活発な活動のひとつ。僕は体育祭づくりが好きで、中学2年から高3まで審判係を務めていました。これがなかなかプレッシャーを感じる仕事なんですよ。反則しているのが友人でも、シビアにジャッジしなければいけません。公平に安全にプレイできるよう、前年のルールを見直すことも大切です。自分たちが決めたことで、みんなが楽しく体育祭を過ごせるかどうかが決まる部分があるので、責任を感じていましたね。 それでも毎年続けてきたのは、やはり楽しいから。「どうしたらみんなが楽しめるか」を毎年実行委員会のみんなで考えに考え抜いた、自由の森の年に一度だけの「点数序列」のお祭りなんです。 「やりたいことがやれる場所」と言いましたが、やりたいことが定まらない人でも心配ないと思いますよ。たとえそういう思いがあっても、いろいろなことをやっている人がいるから、面白そうなコトをしている友人を見つけたら「それ、俺もやりたいな」って声をかけて乗っかるのもアリ。何かを始めようとしている人を、誰もが歓迎してくれる場所だと思います。 だからこそ「自分は何を楽しいと思うのか」と、考え続けることは必要かもしれませんね。自らの経験から選び取った「看護師」という進路 現在は、看護師を目指して専門知識を学ぶ毎日を過ごしています。高2の時、深夜に突然倒れた経験が、この進路を選んだきっかけ。どうも熱中症だったようです。夜間診療だと詳しい検査ができないらしく、病院をたらい回しにされました。 不安を抱えながら朦朧としていた中、救いになったのがていねいに接してくれた看護師さんです。「突然発症する『かくれ熱中症』かもしれないね」と声をかけてくれて、とても気持ちがラクになったのを覚えています。 進路を考えていた高3の秋、ふとそのエピソードを思い出し「看護師がいいかもしれない」と心に決めました。実は直前までリベラルアーツ系の大学に行くつもりだったのですが、どこか本気ではなかったのでしょう。不思議と迷いはありませんでした。 突然の進路変更で周囲を驚かせてしまいましたが、教員から「そうとなったら、コレが必要だ、アレが必要だ」と、受験に必要な出願理由書の書き方や、小論文についてアドバイスをしてもらえて、ずいぶん助けられました。 この先しばらくは、地域の高齢者を支える仕組みが、試行錯誤されながら作られていく時代になると思います。看護の専門家の役割は今よりも重くなるのではないでしょうか。看護師さんに救われたひとりとして、僕も患者さんを支えられる看護師になりたいですね。体育祭では、5年間審判係を担当した(中央)。体力がある人だけが目立つイベントではない、みんなが楽しめる体育祭をみんなでつくった。部活動では「鐵道研究部」に所属。代々受け継がれているミニ列車は、厳しい部内テストを通過した部員だけが、学園祭で運転できる。7

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