季刊もりのあと別冊2020
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生物と人間の営みが交差するさまを見つめて。自然豊かなオホーツクで学ぶ この冊子が出る頃、私は北海道の網走にいます。東京農業大学のオホーツクキャンパスにある北方圏農学科に入学しました。世界自然遺産の知床をはじめとする豊かな自然環境の中で、農学、畜産学、生態学、生命科学などを総合的に学びます。 受験前にキャンパスを訪れた時、目の前に湖や海、サンゴ草の群生地が広がる環境に興奮しました。しかも案内してもらった教室ではアザラシの解剖をやっていたんですよ。 もう「ここしかない!」と、入試までギリギリのタイミングでしたが迷わず出願しました。自由の森と同じように、たくさんの刺激を受けたいと思っています。「五感が喜ぶってこういうことか!」と思ったスタディツアー もともと幼い頃から生きものが大好き。自由の森の高校には、そんな私にぴったりの講座がいくつもありました。 高2で履修したのは「小岩井生態学」。学園のある飯能市小岩井の生態系を体験的に学びます。森に入って生きものやその生活の跡を探したり、街にあるツバメの巣を調査したり、フィールドワークがとにかく楽しいんです。 当然、生き物に興味津々のメンバーが集まります。面白いのは「好き」の対象がバラバラなこと。私は爬虫類だし、魚類、植物、木の実が好きという人もいて、いろいろな角度から環境を見ることができ、視野が広がります。 9月にはそんな仲間と、沖縄県の西表島へ8日間のスタディツアーに出かけました。イリオモテヤマネコなどこの島ならではの生き物を探す旅です。 これが到着早々トラブル続き。キャンプ場に泊まるのに天候不良で荷物が届かず、現地で急遽借りた夏用の薄いテントで寝るはめに。雨が降ると中の荷物が全部ビショビショになって、後半は旅館で濡れたものを干しながら宿泊しました。 それでも亜熱帯の生き物にたくさん出会えて興奮の連続! とくにカエルは絶滅危惧種に指定されているオオハ INTERVIEW 02岡本 瑞綺さん Okamoto Mizuki2019年度卒業。イグアナ、ナイルモニター、アカアシリクガメ、3匹の大型犬と暮らしていたという生きもの好き。自由の森学園では中学からサンバに関わり、高3の夏は生徒代表として浅草サンバカーニバル参加を支えていた。現在、東京農業大学生物産業学部北方圏農学科1年。「小岩井生態学」のスタディツアーで、西表島へ。干潟でオキナワフグを捕まえました。ナサキガエルをはじめ種類が多いんです。夜になれば鳴き声の大合唱。同行している理科教員からその場で詳しい解説が聞けて、観光で訪れるのとはまったく違う体験ができます。夜間も、いつもならスマホで音楽でも聞いて過ごすところを、カエルの声や打ち寄せる波の音、砂が崩れる気配など、さまざまな音に耳をすませました。「ああ五感が喜んでるなぁ」という達観した思いに至るほど、充実した時間でした。本質的な理解が学びを面白くする 自由の森のいいところは、各科目が単独で完結せず、点と点がつながって線や面ができるようにそれぞれの知識が連なっていくこと。 たとえば、生物と数学。素数である13や17年周期で大量発生する「素数ゼミ」や、花びらなどの自然物は基本5で構成されていることを聞いて、数学が苦手だった私もがぜん興味がわきました。単純に公式を覚えるのではなく、本質的に理解できることがうれしいんです。染めものをする講座「染織」でも昆虫か4

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