季刊もりのあと別冊2019
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嫌いな人は自分の鏡 自由の森学園には中学から入りました。入学してすぐに感じたのは「授業って面白いものなのか」という驚き。今思うと、授業をする教員が自分の授業のテーマをちゃんと面白がって取り組んでいたからだと思っています。 中学校長の中野さんとの出会いも大きな出来事でした。「嫌いな人って自分の鏡なんだよ」という話が印象に残っています。自分を他者に投影すること。他者によって自分の存在を確認していること。苦手な人がいると、ついイラッとしちゃう私には耳の痛い話でしたが、すんなり胸に落ちました。 素直に心に届く言葉選びというのかな、中野さんの言葉のつむぎ方が好きになり、なにを読んだらこういう人になるのかと、興味を持つようになりました。自分のこういう体験から、子どもの近くにいる大人の大切さを感じるようになり、「教育」や「教員」というものに目が向くようになったと思います。 教育系に進学したのも、そんなきっかけから。まずは広く視野を持って学ぼうと思い、外国の教育事情にもしっかり触れて比較研究できる大学を選びました。「誰もが共存できる場」という難しさ 高校入学後のしばらくの間、実はクラスの雰囲気にしっくりきていない時期がありました。ホームルームで何かを決めるとき、話し合いを進めていろいろな意見が出れば、そこから妥協点を探ることになる訳ですが、どうもすでに出ている選択肢の中だけで白黒つけようとする傾向がありました。 たとえば体育祭。運動が好きな人たちは、なにも気にせず楽しめるかもしれませんが、「運動が嫌い」というのもひとつの意見です。それを受け入れたうえで、応援を楽しんでみるのはどうかとか、競技の新しい楽しみ方を考えるとか、そういうことから考えてみてもいいのではないかと考えたのです。 しかし当時はそれがなかなか難しいことでした。4月5月という新しい人間関係が始まった時期でもあったので、そういう難しさもあったのかと思います。「誰もがこの学校の一員として共存できるようにするにはどういう作業が必要なのか」。そう考えることは、私にとって長いテーマになりました。まさかのカバディ部まさかのマネージャー そんな高1の冬、カバティ部のキャプテンから「マネージャーやってみない?」と誘われました。当初は「カバディ??」って感じでしたよ。見たこともなければルールも知らない。マネージャーという仕事もイメージできませんでしたが、なんとなく始めてみました。 当初はゲームを見ていても展開がつかめず、コート内の選手に対して「浅いよ浅いよ!」と叫ぶ仲間たちを見ても、「なにが浅いんだ……」と、困惑するばかり。 とはいえ、ルールや技が分かってくると、動きの意味や面白さも実感できるようになり、すぐにコートの外から「まだ浅い、まだ浅い!」と一緒に叫んでしまうまでに。2年の冬には、なんとチームが学生の全国大会で優勝してしまったんです。学生大会といっても、他のチームはすべて大学生。まさかの結果にみんなで大喜びしました。「教育」から世界を見渡して 現在、「国際教育選修」という専門に身を置いています。いちばんの関心事は、まさに外国の教育事情。国によってこんなにも違うものなのかと驚いています。近いうちに留学も考えています。 今は、スウェーデンの教育に関心を持っています。大学まで学費を国が負担してくれるスウェーデンは、各家庭の学費負担が多い日本とは対照的な構造を持っている国のひとつ。ぜひ自分の目で見に行きたいと思っています。そのために、まずは英語を頑張らなくちゃいけませんね。高3では、毎年12月に行われる音楽祭でスタッフを務めるなど、行事活動にも参加。行事をつくっていく楽しみにも触れました。子どもの近くにいる大人の重要性を知って男子カバディ部「ジモディ」、女子カバディ部「KOIWAI613」の選手たちと一緒に。5

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