季刊もりのあと別冊2018春 一人ひとりの生き方としての進路
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Interview /01林 遥さん Hayashi Haruka2017年度卒業。山梨学院大学健康栄養学部管理栄養学科1年。自由の森学園には中学1年の冬に転入。中3から卒業まで民族舞踊部に所属した。「消費者の積極的な選択がフェアトレード商品などの普及につながる」と考えている。入寮して食堂のすばらしさを実感 自由の森の食堂って、本当においしいんですよ。私が一番好きなのはお豆腐のメニュー。ずっしりと食べごたえがあって、おからを使ったケーキや白和えもおすすめです。中学生のときは寮生活をしていたので、3食とも食堂でお世話になっていました。和・洋・中と献立もバリエーション豊かで、知らない食材や調理法に出会える楽しみもありました。 ちょっと心が弱っていた時にも、優しい食堂の食事を前にすると「ああ、ごはんって、あったかいものなんだなあ」と気持ちがほぐれ、食べるということのありがたみをしみじみと感じていました。好き嫌いの多かった私が「食」の奥深さを知り、食堂に足を運ぶのがなによりの喜びになっていましたね。 当時、女子寮ではお菓子作りが流行っていて、ここでは私も作り手としていろいろなお菓子を作りました。米粉となたね油とハチミツを使ったほろほろクッキーに、クリームチーズと濃いめの抹茶を加えた粒あん入りのマフィン、小麦粉アレルギーやベジタリアンの子に合わせたアレンジレシピも。寮に入るまでは、料理は母に頼りっぱなしだったのですが、寮で少し調理の腕を上げたかもしれません。学園祭では自然食のカフェが大好評 高校に入ると、食を扱う「人間生活科」の授業に興味を持ちました。人間生活は自由の森独特の科目ですが、家庭科と社会科を足して2で割ったような科目と想像してもらえれば合っているかもしれません。食堂の豆腐と市販の安い豆腐を食べ比べて違いを考えたり、フェアトレードや防災食、ファストファッション、多様な家庭のあり方まで、自分たちの生活と関連づけて衣食住を学ぶ時間です。人間生活の授業の中で、これまで知らなかった流通経済の裏側を知ったことで、自分の消費行動もちょっと変わり、買物するときは原材料や調達先を必ずチェックするようになりました。 さらにもうひとつ、高校時代の忘れられない食の思い出が1、2年の学園祭で作った自然食カフェのお店です。その名も「はったり食堂」。メンバーの名前をもじって日本語科の教員が名付けてくれました。 食材は食堂や地元のお店から卸してもらったほか、近所の農家からおイモやカボチャをゆずってもらったりして、できるだけ地産地消を心がけました。看板メニューは黒ゴマ豆乳鍋に、玄米のキッシュのカフェ風プレート、地元の手作りこんにゃくの田楽などなど。一番人気は、飯能産のおイモに大豆フレークを使ったサクサクした衣がうれしい「サツマイモのコロッケ」。来店した方々からも「こだわってるね!」とびっくりされたのが嬉しかったです。高2の時には「またこの店に学園祭で自然食のお店を出店するためのメニューをみんなで試作。私にとって自由の森での時間は、「食」を考えて楽しんだ3年間でもありました。自分が感動した「食」の喜びを子どもたちに伝えたい2

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