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【選択講座 サンバ】2000年に高校生チームとして初めて「浅草サンバカーニバル」に出場。以後、毎年出場を続けており、2012年からは最上位のS1リーグに参加している。自由の森ではあまり機会のない、「順位がつく真剣勝負」のコンテストであることも、生徒たちの達成感につながっている様子。【選択講座 カバディ】2011年に創部したカバディ部は、複数の日本代表選手を輩出するまでに。“攻撃”側は相手チームの選手にタッチして自陣に戻ることで得点となり、“守備”側はチーム員同士で手をつなぎ、相手選手を捕らえるという個人競技と団体競技の面白さを兼ね備える。 自由の森は、基本的にクラス替えがありません。3年間同じ仲間と過ごすことになりますが、選択講座はそのクラスを離れ、興味や関心を同じくするメンバーと学びを深める時間となります。 クラスの慣れ親しんだ人間関係とは異なる場で展開する授業は、最初は緊張感があるもの。しかし、そこにいる誰もが「これを学びたい」と選び取った学びの場です。すぐに豊かな学びの場へと変貌していきます。 学園には、1985年の創立時より「自由選択」という科目がありました。創立者である遠藤豊も、学年が進むに従って生徒の学びたいことは明確になっていくので、「徐々に選択科目を増やしていくのが良い」と考えていたようです。ただ、当時の選択科目は、必修授業の内容を“より深める”ことが目的で、基本的には各教科の延長。現在のように、選択講座ならではのオリジナリティ溢れる講座はありませんでした。 多種多様な講座がラインナップされるようになったのは、1998年度から。この年は、学習指導要領の改訂に伴い、すべての高校に「総合的学習の時間」を設けることが必須となった年です。学園ではそれに応じて、教科に限らない多様な選択講座をラインナップすることで対応することになったのです。当初の講座数は30。「野山を歩く」「食から見た世界」など、教科の枠を超えた様々な講座が生まれます。 ねらいは生徒たちの“これが知りたい・学びたい”というエネルギーを作り出すこと。多種多様な生徒たちの興味や関心を引き出すために多くの講座が作られました。教員の確保や、人気不人気など、さまざまな都合から講座数は増減を繰り返しつつも、その後も講座は増え続け、今のように100を超える講座数になりました。たとえば「サンバ」たとえば「カバディ」 一言に選択講座といっても、その成り立ちや目標は様々です。いくつかの講座のケースについて触れていきましょう。 まず、選択講座の中でも異彩を放つのが、1998年の選択講座発足時からあり、現在も人気が高い「サンバ」です。「自由の森学園サンバ音楽隊」として、2000年から毎年浅草サンバカーニバルに参加していることでも知られていますが、その主体となっているのは実は選択講座の授業なのです。 もともと、他の講座と同様に時間割の中で活動する講座でしたが、浅草サンバカーニバルに参加するようになってからは多くの生徒が集まるようになり、近年は最上位カテゴリーのS1リーグに昇格し、参加者たちは夏休み返上で練習を重ねています。 卒業生や教職員も加わり、参加者は200人を超えるまでに。生徒たちにとっては晴れの舞台であり、学年を超えて交流を深める場ともなっています。選択講座がきっかけとなり、その枠を超えて、大きく成長した講座の例といえます。 逆に部活から始まり、選択講座にも加わった例が「カバディ」です。マイナーな競技ですが、学園のカバディ部は「国内有数の高校カバディ部」として、何人も日本代表を輩出しています。 授業として採用されるキッカケとなったのは生徒の声。コンタクトスポーツでありながら、チームとして一体となって動くことが求められる面もあり「授業でやっても面白いはず」という声が上がりました。自身の身体と他者の身体に同時に向き合うという競技の特性が、教育的にも価値があると感じていた顧問の体育教員の思いもあり、選択講座に。興味を持っていた生徒たちが、気軽にカバディに取り組める場となっています。8「クラス」から離れた学びの中で「総合的学習」の枠を超えて進化する選択講座を活躍の場を学校の外にも広げていく

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