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4を着なければなりません。これが意外とキツい。 手術室に入るのにも抗原検査が必要です。そんな手間が増える一方、マスクや防護服、薬から人工呼吸器まで、必要なものは不足するばかりで、冷や汗をかいた時期もありました。院内で陽性患者が出た時には、病棟が2週間閉鎖されましたね。 私の結婚式も中止になったんです。すでに2回延期したのですが、どうやら今年も難しそうです。式場も知恵を絞って、アルコールなしの披露宴などを始めていますが、私も妻もお酒が大好きなので、それはちょっと考えられませんね。もちろん結婚は中止していませんよ。 職業として医師を意識したのがいつ頃なのか、実は自分でもあまり定かではないんです。理科の取り組みで、近所で交通事故に遭ったタヌキの解剖をしたり、脳死について考える授業に関心を持ったりした経験は、どこか今の私につながっているかもしれません。 医大受験の勉強を始めたのは高2から。さすがに遅めのスタートなので、じっくり取り掛かろうという気持ちで始めました。教員も、友人も温かく支えてくれましたよ。 私が中高時代を振り返る時に、欠かせないのは学園祭の「ねぶた作り」。毎年参加していました。大勢で何かを作るのってそれだけで楽しいですよね。みんな得意なことが違うので、学年によって絵が見事なねぶたとか、形がカッコいいねぶたとかいろいろ。本番に間に合わず、未完成のねぶたが練り歩いていることもありました。 私が作っていたねぶたも、いつもスレスレに完成していました。まだ計画的に物事を進めるのが苦手だったと思います。今は、さすがにそういうわけには行きません。 脳外科の後期研修医は、5年間に一定の回数の手術を執刀し、論文の執筆、論文の学会での発表などを経て、専門医認定の試験を受験することができます。それに合格すると、ようやく脳外科の専門医として認められる。といっても、やっと入り口に立てるだけです。 私も来年専門医試験なので、試験勉強に取り組んでいるところです。論文の執筆も進めています。内容は、「頭蓋骨欠損による難治性髄膜炎の治療について」。脳って、実はまだまだ分からないことばかりなんです。例えば同じところに脳梗塞ができたとしても、症状がまったく違ったりする。研究したいテーマはたくさんあります。 いずれ市中の病院で、予防も治療もリハビリもすべて自分で対応できる医師になりたい。脳神経外科の視点から、総合診療医の様な医師になるべく腕を磨いていきたいんです。 まだまだ私自身もこれからの身ですが、もし医師を職業として考えている後輩がいるなら、何ができるかわかりませんが、サポートしますよ。気づいたら医師志望専門医を目指して

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