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11子どもたちに物語を届ける 童心社という出版社で、子ども向けの本や紙芝居を作っています。「こういう作品を作りたい」と企画したり、編集者として作家さんと一緒に作品を形にしていったりする仕事ですね。本や紙芝居を通して子どもたちに何を届けたいのか、どう届けるのか。子どもたちにとって、どういう存在になっていく作品にしていくかなど、イメージを膨らませながら作り上げていきます。 紙芝居を作っているというと、珍しがられることが多いですが、私の会社では年間約30作品を作っています。書店ではあまり見かけないと思うんですけど、保育園や幼稚園などに直販という形で流通しているんです。紙芝居を演じる時に入れる箱のようなものは、「紙芝居舞台」というのですが、この舞台を使うと、観客はよりお話しの世界に集中できますし、盛り上がりますね。 紙芝居は、演じ手が観客と向きあって、語りかけるようにお話を進めます。コミュニケーションをとりながら、観客と一緒に世界を作れるのも良いところ。一方、本はひとりでじっくり読むものです。本の世界に没頭して、気になるページを何度も読み返すことができる。それぞれ違う魅力があります。知ってしまった「ハマる」 子どもの頃からずっと本が身近にありました。ファンタジーばっかり読んでいて、日本だったら荻原規子さんとか上橋菜穂子さんとか。洋書だと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの本をひたすら読みまくっていました。 何かにどっぷりハマるという感覚は、本を通して得たと感じています。本を読まなくても生きていけるし、あまり本を読まない人もいっぱいいるでしょう。でも本の面白さを知ってしまった以上、この世界は私にとって手放せないものになりました。Koganezawa Motoもりのあとを歩く23期生小金澤 基 さん52「その時」にしか得られないものってあると思うんですこれまでに小金澤さんが担当した本、紙芝居は1年でおよそ10作品。読み手である子どもたちにとって、大切な物語になるような作品づくりを心掛けているという。

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