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13この新しい価値が社会に広がっていく時期にその価値と向き合い、伝えていく仕事ができるのは楽しいですよ人と協働する人の安全を守る 私たち人間が、ロボットの手を借りて一緒に業務を進める。たとえば、夜の間にあらかじめ決めた部分をロボットが掃除しておく。ロボットが苦手とする細かい部分の汚れを、人間がていねいにケアする。互いに得意の分野を受け持つことで、業務の効率を高めていけるんです。 最近では、新型コロナの一時隔離施設となっているホテルでも稼働しています。人間では感染の恐れがある場所もロボットなら安心ですからね。 また、機械に詳しい人じゃなくても、簡単に操作できることに徹底的にこだわっています。つまり今まで清掃を担当していたスタッフの方が、そのままロボットの操作を担当できるんです。 清掃スタッフの方が「ウィズちゃん」などと名前をつけて、可愛がってくれている現場もありますよ。なぜでしょう、愛嬌があるんですよね。プログラムで動いてるだけなのは分かっていても、健気に働いている姿に、多くの人が頬を緩めてしまいますね。 私たちは、これから労働力人口が著しく減少していく時代に生きていくことになります。この社会が変化を必要としていることは、もう誰の目にも明らかです。「余裕」から始まるもの 目の前のことだけに忙殺されていると、それだけに時間が費やされてしまう。余裕がないと、「次はこんな新しいことにチャレンジしてみよう」という気持ちは、なかなか芽生えません。それは、企業にとっても一人ひとりにとっても、喜ばしいことではありません。 新しい分野ですから、まだそれが何を意味することなのか、見通すことが難しい人も多いです。私だってすべてが見えている訳ではありませんし、実は私も「ロボットがいる日常ってなんか怖いなあ」と思っていたひとりです。でも、人間を大事にするためのAIであり、ロボットなら、アリだなって。 こういう新しい価値が、社会に広がっていく時期に、その価値と目の前で向き合い、伝えていく仕事ができるということは、嬉しいのです。 中高生の皆さんの中には、会社という場所のイメージがうまく湧かない方も多いと思います。それこそロボットのように「会社ねぇ……」って、懐疑的に思う人もいるのでは。 誤解を恐れずに言えば、私の場合、会社って毎日が学園祭みたいなところだと思っています。もともと大のお祭り好き。行事などで、ひとりではできないことを仲間とつくりあげるのは大好きでした。 「こういうことやってみたい!」 「それにはどうすればいいか?」「誰か協力してくれるかな?」「お金どうしよう」。そんな学園祭と同じようなことを、何千万、何億円も使ってやっていいのが会社だと思うと、ちょっと面白そうじゃないですか? 失敗したって命を取られるわけではありません。「なにを、どのように見るのか」。モノの見え方って、見方次第でさまざまだと思っています。今宮 歴哉さん〈15期生〉1983年東京生まれ。自由の森学園高等学校卒業後、山形大学人文学部総合政策科学科入学。卒業後は旅行代理店、広告代理店、外資系電機メーカーとさまざまな分野の営業畑を歩み、現在、ソフトバンクロボティクス株式会社に勤務。人の営みのさまざまな場面を、ロボットがいかに支えていくことができるか、模索を続けている。「Pepper」および「Whiz」の名称はソフトバンクロボティクスの登録商標です

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