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3「高齢だから」であきらめない 寿命が短い小動物の衰えとどう付き合っていくかは、飼い主さんにとって重要な問題です。西洋医学的な考え方だと、症状に対して治療を行う対症療法が中心。お薬を飲ませるくらいのことしかできなくなってきます。 高齢の動物を動物病院に連れて行って「もう年だからしょうがない」と言われる経験をした人も少なくないでしょう。 一方の東洋医学では、身体の中にある根本的な原因を見つめ、身体全体の東洋医学を通して動物と向き合う 獣医師、獣医中医師として往診専門の動物病院をやっています。獣医中医師とは、簡単に説明すると「鍼灸や食養などを中心とする東洋医学で動物を治療する獣医師」のこと。中国では長い歴史があり、古くは馬の治療などが主だったようですが、現代では犬や猫などの小動物への治療法も確立されています。 治療は鍼(ハリ)やお灸でツボを刺激したり(動物にもツボがあるんですよ)、推拿(すいな)というマッサージを施すのが中心。食べものを見直す食養のアドバイスもします。鍼灸などで治療すると、弱めだった脈が上がって体が温かくなったり、毛並みが整ってツヤが良くなってくる。犬は年を取ると後ろ足の筋肉が落ちてきて、腰が下がってしまいがちですが、鍼灸治療の後は筋肉の状態が良くなって、腰を高い位置で保つことができるようになることも多いです。 人間だと、「効いた気がする」という、プラシーボ効果(暗示によって治療の効果があったような作用が現れること)がありますが、言葉の通じない動物にはありません。実際に治療の効果が出ていると考えてよいのだと思います。動物もお灸やマッサージは気持ちがよいようで、寝てしまう子もいますよ。星野 浩子 さんHoshino Hiroko少しでも長く動物との幸せな時間を共に過ごせるようにもりのあとを歩く427期生ダックスフントの「マインちゃん」。人間でいうと、80代後半とのこと。お灸が心地よいのか、診療中に眠ってしまった。

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