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渡邉 さやか(自由の森学園 食生活部)❸ 手づくりうどん 自由の森学園も新年を迎え、新しい一年がスタートしました。一月からの寒さはなかなかなもの。寒い時には、温かいものが食べたくなります。食堂にはお蕎麦やラーメンなどがありますが、やっぱりうどんは外せません。手打ちではありませんが、うどんだって自分たちで作っちゃう。そんな学食なかなか無いでしょ、と心の声が溢れ出ます。 食堂では前日に製麺機を使って麺を仕込みます。中力粉と塩水だけで作るシンプルな作り方。足踏み、プレス、一晩寝かせるというプロセスを経て、翌日に麺をカットし、たっぷりの熱湯で15~23分茹でます。冷水でぬめりをとり、しっかり麺をしめてから、食べる直前に再び熱湯に潜らせて熱々の汁をそそぎ、具を盛り付けたらできあがり。うどんの種類に合わせて太さを調整したり、季節によって水分量を変えたり踏む人の体重の違いなど、仕込む人にそれぞれ特徴やこだわりがあるのが魅力です。 うどんの種類もとっても豊富。スパイシーなカレーうどん、具がたっぷり入ったけんちんうどん、味が染みこんだお揚げの入ったきつねうどん、ガツンとスタミナのある肉うどん。おすすめは、冬の時期にしか仕入れることのできない玄米餅が入った力うどん。 素揚げした玄米餅に茹でたてのうどん、鰹の一番出汁で作る温かいつゆ。冷えた身体もじんわり温まる、寒い日にはたまらない一品です。こんなこだわりの詰まった手づくりうどんが、おいしくない訳がないのです。  三十数年前、子どもたちにまっとうな食事を食べさせたい、と願う多くの父母が立ち上がり始まった自由の森学園の食堂。今でこそ、オーガニックという言葉が一般的になってきたけれど、食堂のごはんは、ただ食材の質が良いのではなく、ほとんどのものが手づくりされている。そんな場所がレストランやカフェとして在るのではなく「学校」に在り続けているなんて、それは奇跡のようなことだと思うのです。 食事は毎日のことだけれど、作ることを毎日続けるって意外と大変なこと。特別なことじゃなく、小さなことの積み重ねで生み出されることって、日々の中にたくさん隠れているのかもしれませんね。 食堂で味わう「おいしい」は、その積み重ねで生まれた産物なんじゃないかな。14

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