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手をつないでレイドにタッチされないように引っ張って逃げさせたり、1人の動きをキッカケに一斉に相手を押さえに行ったりと、個と全体が連動することが求められます。とくに大学生チームなどとの対戦ともなると、個人の体力は劣ることがほとんどなので、全員の連携が勝負の決め手になるのです。 今でも、カバディ部に入部を希望する生徒は、どちらかというと穏やかで静かなタイプが多いのですが、この競技にハマったのをキッカケに「こんな勇ましい面もあったんだ」と驚くほど変わることも少なくありません。チームで協力して動くことの面白さにも気づくのか、日常の中で、クラス活動や行事にも積極的に関わるようになる生徒も多いようです。中学・高校の授業にも「カバディ」を 誰でも取り組みやすいという入り口の広さはあるものの、際限なくある「勝つための正解」を、瞬間的に、計画的に、個人でチームで見出していくことを、めまぐるしくこなしていくことが要求されます。しかし、すでになにかのスポーツに取り組んでいた生徒も、運動はそれほど得意ではないという生徒も、それぞれの形で楽しみながら、共に取り組んでいける。カバディのそんな一面は「プレイヤーを選ばないスポーツ」という優れたハマるポイントは人それぞれ 一度その魅力に触れると、どっぷりハマる人が多いのもこの競技の特徴。自分の体をいかにうまく使って遠くの相手にタッチするか、といった体の動かし方の面白さや、いかに相手の裏をかくかという駆け引き、そしてチームで協力して相手の動きを封じるという部分など、ハマるポイントが人それぞれなのも面白いところです。 ちなみに、レイド中に捕まった選手は、コートの外に出なければいけませんが、味方が得点することでコートに戻れるルールが、「みんなで、あの選手を取り戻すぞ!」というチーム意識を生みやすいという面もあります。 かつて日本代表に選ばれた2人は、部活のない週末もどこかのチームの練習に参加していたり、少しでも何かを学ぼうと自分が選ばれていない代表練習にも得点係として参加していたりしました。それだけ夢中になる魅力があったのでしょう。彼らが代表チームの練習法などを持ち帰ってくれたおかげで、部活の練習レベルも格段に向上しました。 また、チームスポーツといわれる競技にも、全員でひとつの動きをする競技は実はさほど多くありません。カバディでは、さまざまな場面で常にそれが求められます。例えばアンティでは、お互いに一面であると言えるでしょう。 2013年には高校選択講座として授業への採用も始まりました。なんとなくカバディが気になっていた生徒が、気軽にカバディを体験できるきっかけができたことでその面白さにハマり、カバディ部に入部するというパターンも増えました。 最近では、中学の授業にもカバディを採り入れる試みを始めています。現在、子ども時代に身体と身体が触れ合うような遊びを体験する機会が著しく減っている傾向にあり、自身の身体、他者との身体を通した関わりへの意識を養う機会の少なさが懸念されています。そこで、「鬼ごっこのような遊び」と「ボールを使った運動」の間を埋めるレベルの、身体的な関わり合いの体験としてよいのではないか、と学園の体育科が教材検討をはじめました。 現在、授業化に向けて着々と準備を進めており、早ければ今年度の体育の授業でさっそく導入される予定です。 「カバディ」という名前は知っていても、実際に見たことのある人やルールを知っている人は少ないと思いますが、一度目にするとその機敏な動きに「かっこいい!」と感じる人も多いようです。ぜひ一度その動きをご覧いただければと思います。身体を通した他者との関わり合いの体験の場として女子チーム「コイワイ613」の試合形式の練習風景。赤いウエアのレイド(攻撃)に対抗するアンティ(守備)。手をつないでいるのは、レイドの動きに対して協力して俊敏に動くため。女子チームも日本代表強化指定選手に3人の選手を送り出している(2018年1月現在)。第28回全日本カバディ選手権大会。VSカーリーズ戦。囲い込んで見事レイドを仕留めるコイワイ613。12

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