morinoat_019
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新しいものって確かにドキドキしますけどね。でも最初だけです。使っていけば自分たちのものになる。日比:まあ、中高生ですからね。多少汚されていくのは想定内です。ただしあまり乱暴に扱われると、無垢材は木目にそって割れやすいのでご注意を。きれいな木目だからこそ割れやすいんです。「木は扱い方次第では壊れてしまう」ということもオマケで学べます。岩田:今後、この教室が生徒たちの日常になっていくじゃないですか。そうしたらあの教室の味わいを感じとって、将来家を建てるときに「やっぱり無垢の木がいいよね」とか言ってくれる生徒たちも出てくるんじゃないかと。そうしたら嬉かげさまで今後は胸を張って学校を見てもらえます。生徒たちも喜んでいるようで、学園祭の実行委員会の会場に新しい教室を選んで使っていました。 日高:工事が終わった教室で何人もの生徒さんたちが「これいいね」とつぶやいてドアの木肌をさすっていました。ドアを作ってくれた建具屋さんも、その姿を見て喜んでいました。私も「あぁよかった。間違ってなかったなぁ」と。こういう本物のよさを素直に感じ、表現できる感覚を大切にしていってもらいたい。「気持ちよさってなんだろう」と考えるきっかけになればいいですね。岩田:生徒の中には「なんか緊張するから、古い教室でいい」という子もいますよ。しいですよね。そんな一人ひとりの生き方の先々にも影響を与えられる教室になれたら嬉しい。そう思うと今回の教室リニューアルは、学園の食生活部がずっと「食」の分野でやってきた「天然の食材を使った手作り料理を生徒たちに」というこだわりを、教室という「場」に置き換えた取り組みのようにも思えます。これが、生活と密接なところで「本物に出会う」という取り組みの新たな切り口となって、学園が新しい価値観を育んでいくきっかけになればと思います。今日はありがとうございました。11ロッカーに仕上げの蜜ろうワックスを塗る生徒たち。蜜ろうは、ミツバチの巣から採取した自然由来のワックス。安全なものであることにくわえ、無垢材の木目を際立たせる最適な仕上げの一つとされている。ロッカーは、生徒の貴重なパーソナルスペース。軽い力で一度奥に押し込むと開く仕組みで、地震発生時に中味が飛び出して凶器となることを防ぐ。

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