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教育理念
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美術 糸を紡ぎ、木を彫り、日常を描く その過程から見えてくる大切なものに触れる

絵を描くこと、生活で使う物をつくることは、人間が古代から続けてきた大切な営みです。そしてその行為に打ち込むことは、素材の手触りを通して、自身と向き合う時間となります。

自由の森学園の美術科は、絵画制作、木工、染織の3分野があります。絵画で取り組むのは、石や毎日通る通学路、自分の目など、日常の題材を扱う絵の制作です。対象をじっくり見つめ、その中で感じた思いと向き合うことに長い時間を費やします。それからスケッチを重ね、時間をかけて1枚の絵を描き上げていきます。

木工では、まず作業で使う「木づち」を自分の手でつくるところから始めます。それからその木づちを使って大きな器を彫ったり、原木から一木造りの大きな椅子を彫り出す制作を行います。固い木の手応えや匂いを全身で感じながら、その木が生きてきた環境に思いをはせ、「その木らしさ」を表すカタチを探していきます。

染織では、植物を使った染め物と、糸紡ぎ、機織りをします。いずれも一つひとつの工程に計算が必要な難しい作業ですが、経験を重ねていくうちに熟達し、自然の色の美しさやぼこぼこした糸のおもしろさと、自身の思い描いたイメージを重ね合わせていけるようになります。

いずれの分野でも、最初は集中するのに時間がかかることも。しかし手を動かすうちに、無言になり始めます。寡黙になるのは、作品と向き合うその空間が心地良いから。完成したとき、彼らが見せてくれるのは、その過程がどれほど自分に必要だったかを物語る、満面の笑顔です。

〈絵画:目を描く〉知っているようで知らない、自分の目が持っている表情や魅力、変化と向き合い、1年かけて描き込んでいきます。迷いこんだら、時にはクラスメイトが描いている目を見て回って構いません。じっくりと濃密な「気づいていく時間」を過ごしていきます。

〈木工/染織〉原木から材料を切り出し、イメージを膨らませて生活の道具を作っていく「木工」。草木などの自然素材から、彩りを受け取り、イメージを形にする「染織」。いずれも「上手な作品」を目指すのではなく、自身のイメージを対象に落とし込んでいく作業、その中で得る体験を大切にしていきます。